Q&A集:痩せていても糖尿病になるの?


question痩せていても糖尿病になるの?


answer
ドクター痩せていても糖尿病になります。1型糖尿病に関しては、免疫疾患やウイルス感染、または遺伝的要因によって発症するので、肥満している、痩せている、と言った体型はまったく関係ありません。

2型糖尿病の発症に肥満が大きく関わっていることは周知の事実ですが、その太りかたも問題となります。見た目が太っているというだけで糖尿病になるなら、相撲取りの多くが糖尿病という理屈になってしまいますが、そうではありませんね。

体につく脂肪には2種類あります。皮膚の下につく皮下脂肪と、内臓のまわりにつく内臓脂肪です。皮下脂肪が多くつくと外見で見分けがつきますが、内臓脂肪は外見では見分けがつきません。なので見た目は太っていないから、自分は糖尿病を発症するリスクは少ないと考えるのは早計です。

皮下脂肪はゆっくり蓄えられ、ゆっくり分解されますが、内蔵脂肪は急速にたまり、急速に分解される傾向にあります。そのため内臓脂肪が多くなると血中の遊離脂肪酸が多くなり、インスリンの働きが悪くなります。また、遊離脂肪酸となった内臓脂肪は肝臓に直接流れ込み、肝臓の働きを悪くすることも分かっています。更に内蔵脂肪はある種の物質を伝達物質として分泌し、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解して糖に変えてしまうことも分かっています。このように内臓に脂肪が多くつくと血糖値があがりやすくなるのです。このことから、見た目は痩せていても内臓脂肪型肥満(隠れ肥満/バナナ型)があると、糖尿病を発症するリスクは高まります。
肥満の分類


内蔵型肥満(隠れ肥満)の数値的目安は、BMIが25未満でありながら、腹囲を腰回り(ヒップ)で割った値が、男性で1以上、女性で0.8以上ある場合です。いわゆる着痩せするタイプの人に隠れ肥満が多いと言えます。自分が隠れ肥満と思われる人は、体重ばかり気にするのではなく、筋肉をつけるような運動(筋トレ)と有酸素運動を組み合わせ、引き締まった体にして内蔵脂肪を減らすことが大切です。

また、昔は太っていたが、今は痩せているので糖尿病ではないと思い込む人もいますが、それは糖尿病が進行した結果かもしれません。糖尿病が進行すると細胞が糖を栄養として取り込めなくなり、血液中に取り残された糖は尿とともに体外に排泄されます。また、脂肪やタンパク質の分解も進むので、体は徐々に痩せていきます。

人の基礎代謝は年齢とともに低下するので、若いころと食べる量が同じなら太るのが普通です。食べる量は変わらず、運動もしていないのに体重が減ってきた人は、糖尿病やその他の病気を発症している可能性もあるので、いちど病院で検査してみることをお勧めします。



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