Q&A集:糖尿病の運動療法とは?


question糖尿病の運動療法とは?


answer
ドクター運動療法は、食事療法と同じく、糖尿病治療の基本となります。運動をすることによって血糖が低下し、インスリンの働きがよくなります。また、肥満の解消や体力の増強、ストレスの解消にもなります。運動は薬と同じくらい効果があるのです。

糖尿病の患者さんにとって運動はとても重要なものですが、トレーニングを開始する前には必ず医師によるメディカルチェックを受けて下さい。血糖コントロール状態のよい人の場合は、運動をすることで急性代謝効果がよい方向に現れ、血糖値が低下します。しかし、コントロール状態が悪いと運動後に血糖値が上がり、糖尿病性代謝異常が悪化する恐れがあります。
運動の種類
運動の強度
運動の強度にも注意が必要です。下表の「運動の強さ」が中等度までは、筋肉のエネルギー源に糖質と脂質の両方が使われますが、運動の強度が高まるにつれ、糖質の利用比率が増大し、激しい運動では糖質だけがエネルギー源となって脂質はほとんど利用されないと言うことが分かっています。また、激しい運動ではグルカゴンのような血糖を上げるホルモンも分泌されるため、なるべく避るようにしましょう。


運動によるエネルギー消費の目安
運動の強さ 1単位あたり(80kcal)を消費する時間 運動の種類
非常に軽い 30分くらい ゆっくり散歩 (60m/分)、体操 (ストレッチやラジオ体操など)、乗り物での立位、炊事、家事 (洗濯、掃除)、買い物、階段下り。
軽い 20分くらい ウォーキング (70m/分)、階段下り、自転車(平地)、ゴルフ、水中歩行、モップ・掃除機かけ、 ぞうきんがけ、風呂掃除、草むしり、農作業 (植栽・耕作など)、草刈り (草刈り械で歩行)。
中等度 10分くらい 軽いジョギング、階段のぼり、自転車 (坂道を上がる)、スキー(歩く)、レジスタンストレーニング、スケート、テニス (練習)、バレーボール、登山、雪かき、重い荷物を運ぶ、農作業 (活発な活動)。
強い 5分ぐらい マラソン、縄跳び、バスケットボール、水泳 (競泳平泳ぎ)、ラグビー、剣道。

運動の効果は3日以内に低下し、1週間で消失すると言われているので、たまに集中的に強い運動をしてもあまり意味はありません。運動は中等度くらいまでを目安にして、1回10分~30分(できれば毎食後*1)で、少なくとも週3回以上は行うようにしましょう。

*1)運動は血糖値が上がりやすい食後1時間から1時間半後に行うのが理想。 糖尿病にお勧めの運動

運動療法をおこなう上での注意点
・高齢者の方やこれまで運動習慣がない人が、急に強い運動を行うのは大変危険です。軽い運動から徐々に行なって下さい。

・血糖コントロールが極端に悪い方や慢性の合併症が進んでいる方は、運動が逆効果になる場合もあるので、運動をしてもよいかどうか、主治医と相談してから行なって下さい。



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